各国で辛い物が食べられている理由とは?①

コラム

韓国料理

激辛ブームの到来以降、辛い料理の人気は落ちることはありません。辛い料理を食べる理由には、「体が温まるから」とか「食欲が落ちているから」などいろいろありますが、皆さんはなぜ辛い料理を食べるのでしょうか?各国で辛い物が食べられている理由を調べてみましょう。

中国ではなんで辛い物が食べられているの?

中国では唐辛子は当初、観賞用や薬用という存在でした。しかし、辛み成分のカプサイシンが、食欲を増進させたり発汗を促したりすることで、唐辛子には暑さに負けない健康を保つ働きがあることが分かりました。そのため、四川などの夏が非常に蒸し暑い地域では好まれるようになりました。

そして80年代になり、四川や重慶などの湿気が多い地域の人たちが大都市に出稼ぎに出るようになり、唐辛子を使用した料理を提供するレストランが数多く誕生し、辛い味が流行り始めました。

脳内で作り出されるエンドルフィンという神経伝達物質は、辛い物を食べることでも分泌されます。これがたくさん作り出されると、モルヒネと同様に多幸感を抱くことができます。これも中国人が唐辛子の辛さにハマってしまった理由の一つです。

大都会で働くと、不安やプレッシャーが蓄積されがちです。このような状況の中で人々は辛い料理を求め、それが徐々に大衆の食文化として定着していったと言えます。

辛い中国料理ってどんな物があるの?

中国料理の中で四川料理は辛いことで有名です。通常の料理の味覚は、甘味、酸味、塩味、苦味、辛味の5種類がありますが、四川料理には、そこに麻(マー:痺れる)という味覚が加わります。

具体的に言うと、山椒の実の一種である花椒(ホァージャオ)を使った「痺れて辛い」マーラー味になります。

四川料理の代表的な料理として麻婆豆腐があります。これは、花椒を大量に使用して、痺れるような辛さが特徴の料理です。麻婆豆腐のトッピングには本場では、葉ニンニクが使われます。

四川では、担担麺に使うタレは花椒がたっぷり入っている醤油味がベースで、タレを麺や具材に絡めて食べるのが一般的です。これは、尾を引く辛さが特徴の料理です。

韓国ではなんで辛い物が食べられているの?

唐辛子などの辛い物を食べると、血行がよくなることや発汗が促されることなどで体が温まります。韓国は北西から来る冷たい空気が半島方面を覆うという非常に寒い地域ですが、辛い物を食べることで寒さを和らげることができます。これが韓国で辛い食べ物が食べられている理由の一つです。

また、食べ物が腐らないように、辛い物を用いることによって菌の増殖を防ぎ、消毒効果を期待して利用するという面もあります。つまり、昔の人が生活をしていく上で考えた知恵により、辛い物が定着したのです。

また、多幸感を与えるエンドルフィンにより食べることで幸せを感じることができるのも、韓国で辛い食べ物が定着した理由の一つなっています。

辛い韓国料理ってどんな物があるの?

韓国で辛い食べ物と言えば、まず思い浮かぶのがキムチです。材料を切って調味料と揉み込むだけという簡単なレシピで、日本でも人気の食べ物になりました。

人気上昇中の辛い食べ物に「火の鶏」という意味のブルダックがあります。鶏のもも肉、むね肉にコチュジャン、キムチ、唐辛子を混ぜ炒めた料理ですが、「火を吹くほど辛い」と言われています。

鶏とジャガイモ、ニンジン等の野菜、韓国風春雨を煮込んだチムタクは、ただ辛いだけでなく甘さや旨味が感じられます。

その他にも、体の芯まで温まる韓国の定番スープのスンドゥプチゲ、いろいろな香辛料から作られた甘辛ソースで味付けされた韓国風フライドチキンのヤンニョムチキンなども辛さに定評がある韓国料理です。

インドではなんで辛い物が食べられているの?

インドで辛い物が食べられているのは、防腐剤としての効果という点があります。インドのような暑い地域では、食料がその暑さと湿気によって腐りやすくなっています。腐りやすい物を何とか保存するためにいろいろと試した結果、唐辛子のような腐りにくい食品を利用することを発見したのです。

また、食料保存だけではなく、体温調整としても重宝されています。辛い物を食べることによって、大量の汗が出ます。汗をかいた後は、汗が蒸発する時に気化熱を奪い体温を下げる効果があります。

一見すると、暑い地域で辛い物を食べるとより体が熱くなりそうに感じますが、実はその逆だったのです。幼い頃からこういった物を食べ慣れることによって、次第に辛い物を食べるのに抵抗が無くなったと考えられます。

各国で辛い物が食べられる理由について①

中国で辛い物が食べられるのは、唐辛子の辛さが暑さに負けない体を保つ働きがあるというのが理由の一つです。また、エンドルフィンによる多幸感が得られるということもあります。

辛いことで有名な四川料理では、麻婆豆腐に代表されるように「痺れて辛い」マーラー味があります。韓国は寒い地域ですが、辛い物を食べることで寒さを和らげることができます。韓国の辛い料理には、日本でも定着したキムチの他、ブルダック、チムタクなどがあります。インドで辛いものが食べられているのは、防腐剤としての効果や体温調整という理由があります。

このように、辛い物が食べられるようになった理由は、地域によりさまざまです。