ドライフードのいろいろ

コラム

生椎茸と干し椎茸というように、なぜ椎茸を干したものを先人は産み出したのでしょうか?ここでは食品を乾燥させるとどうなるのかを調べてみましょう。また代表的なドライフードの干し椎茸、スルメ、ドライフルーツ、干し芋とはどういう食べ物かも見ておきましょう。

なぜ食品を乾燥させるの?

食品を乾燥させる最も大きな理由は、水分を少なくすることで、酵素や微生物の作用を抑制し、細菌やカビによる腐敗を防ぐということです。それにより添加物を使わなくても、長期間食品の美味しい状態をキープできます。

微生物の繁殖には、栄養、温度、水が関係します。水には結合水と自由水がありますが、自由水の中では微生物は増殖しやすくなります。

全水分中の自由水の割合を水分活性と言いますが、その値が0.6を下回ると繁殖を防ぐことができるとされています。

乾燥しても結合水は簡単には蒸発しないという特徴があるため、自由水だけが減少し水分活性の値は下がります。よって、乾燥させると、食品は長期常温保存が可能となるのです。

また、乾燥すると凝縮して旨味が増すと同時に栄養価も増やすことができます。乾燥すると軽くて携帯に便利で、お湯などですぐ元の状態に戻すことができます。ドライフードは食品ロスも少なくできる優良食品です。

乾物の干し椎茸とは?栄養素はどう変化する?

椎茸は低カロリーでヘルシーな食材としてさまざまな料理で使われます。生椎茸と干し椎茸が売られていますが、干し椎茸は生椎茸を乾燥させた乾物になります。

椎茸は生であろうと乾物であろうと同じだと思われがちですが、実は干し椎茸の方が旨味も栄養価も高いことが分かっています。

旨味とは舌で感じることができる味のバロメーターで、グルタミン酸、イノシン酸、グアニル酸が3大旨味成分となっています。このうちグアニル酸は干し椎茸にしか含まれないと言っても過言ではないのです。

生椎茸の旨味はグルタミン酸によるものですが、これを干すことでグルタミン酸は約15倍になるだけでなく、さらにグアニル酸という旨味成分も生成するのです。

生椎茸には食物繊維4.2g、カリウム270mg、ビタミンD0.5μg、葉酸75μgが含まれていますが、干し椎茸になると食物繊維410g、カリウム2100mg、ビタミンD12.7μg、葉酸240μgと一気に増えるのです。

乾物のスルメとは?

乾物のスルメとは、ヤリイカ、ケンサキイカ、スルメイカなどの内臓と眼球を取り除き、残しておいた足と一緒に素干しや機械などで乾燥させた加工食品のひとつです。

古くから日本や朝鮮半島、中国南部、東南アジアにおいて食べられている食品で、乾燥させているので長期保存に向いているので重宝されています。

100gあたり334kcalで、タンパク質69.2g、脂質4.3gの他、ナトリウム、銅、カリウム、亜鉛、リンなどのミネラルや、イカに含まれるタウリンも豊富に含んでいます。 料理方法としては、水で戻して出汁を取ったり、そのまま煮て煮物にしたり、昆布や数の子などと一緒に漬け込んだ松前漬けにしたりする方法があります。火であぶって酒の肴としてそのまま食べることもできます。

乾物のドライフルーツとは?

ドライフルーツはdryとfruitを合わせた和製英語で、正式な英語はdried fruitになります。文字通り、果物を天日や砂糖漬けなどで乾燥させ、保存性を高めた食品になります。

果物をドライフルーツとして食べられるようになったのは、冷蔵庫などの保存できる物を持たない紀元前からになります。

果物に含まれる水分量は80~90%と高く、水分が多いためカビや細菌などの活動により容易に傷みます。水分が抜ければ糖度が高まりカビや細菌が繁殖しなくなり、果物は傷みにくくなります。そのことで保存性が高まり非常食としても使われます。

果物にはもともとミネラル、食物繊維、抗酸化物質、糖分を豊富に含んでいます。これらが乾燥により凝縮するので、栄養価の高い健康食になります。例えば、糖分は疲れをとり、脳の働きを活発にしてくれます。

ドライフルーツは空気中の水分を吸うと糖度が下がり傷みやすくなります。そのため開封後は密封容器に入れ、冷蔵庫の中での保管がおすすめです。

乾物の干し芋とは?

干し芋とは、サツマイモを蒸し、皮をむいて天日干しで仕上げた食品です。店頭でよく見るのは、10~15cmの長さで、細長い板状のものです。

蒸した後に干すという製法が確立したのは江戸時代のことです。その後、保存食として日本中に広まり、日露戦争時などは野戦食として活用されました。

適度な水分を含むため、サツマイモらしい甘みが残った食品です。火であぶると柔らかくなり甘みも増します。また適度に焦がすと香ばしさも生まれます。

サツマイモには食物繊維が豊富に含まれているのはよく知られています。それ以外にもビタミンB1、ビタミンCなども豊富に含まれる健康食品です。

いろいろなドライフードについて

食品を乾燥させると水分活性の値が下がり、微生物が繁殖しにくい環境となります。そのため食品の美味しい状態をキープすることができます。旨味や栄養価も高くなります。

代表的なドライフードの干し椎茸は、グアニル酸という旨味成分も生成します。食物繊維、カリウム、ビタミンD、葉酸も一気に増えます。スルメはたくさんのミネラルの他、タウリンも豊富に含んでいます。ドライフルーツはミネラル、食物繊維、抗酸化物質、糖分が凝縮し栄養価の高い健康食です。

干し芋も食物繊維、ビタミンB1、ビタミンCなどが豊富に含まれています。先人はいろいろな工夫をしてこれらの食品を生み出しました。

その流れは、おやつや補食として人気のビーフジャーキーに脈々と受け継がれているのです。

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