脂質ってそもそも何?

コラム

脂質

脂質は女性や高齢者にとっては嫌われる存在です。しかし、脂質が病気や肥満の原因になるのは摂り過ぎた場合のことです。そもそも脂質は三大栄養素の一つにもなっているぐらいなので、人間にとっては無くてはならない存在なのです。そんな脂質のことを少し勉強しておきましょう。

脂質ってそもそも何?

脂質はリピドとも呼ばれる三大栄養素が一つで、食用油、肉類、魚類、乳製品、卵製品など多くの食品から摂取できます。

エネルギー源として機能する他、ホルモン・細胞膜・核膜の構成、皮下脂肪の形成からは臓器保護と体温調節、脳や神経系の健康維持等、多くの働きをします。

脂質は分解すると脂肪酸になります。その脂肪酸は、構造と性質から大きく飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の二つに分けることができます。

飽和脂肪酸は常温では固形の脂から摂れ、動物性の食品に多く含まれています。これはエネルギー源として機能します。

一方、不飽和脂肪酸は動植物の油脂から摂れます。これはコレステロール値を下げ、動脈硬化予防の効果も発揮します。

脂質はどんな食べ物に含まれているの?

脂質が含まれている食べ物は主に動物性食品や油、乳製品などです。オリーブオイル、ごま油、アマニ油、サラダ油、チーズ、バター、牛肉、豚肉などがその例です。

牛肉や豚肉の場合は、部位によって脂質量が異なります。ロース、肩、タン、ももなどの部位に脂質量が多い傾向があります。

魚類の場合は、マグロやイワシなどは脂質量が多い食材ですが、不飽和脂肪酸が含まれていることが肉類と違うところです。不飽和脂肪酸は、血中コレステロールを減らしてくれるよい脂になります。

ただし、加工された魚類ほど脂質量が多く、本来の素材の状態に近いほど脂質量が少ない傾向があります。

野菜の場合は一般的に脂質量が低いですが、アボカドが突出して高い傾向があります。そのため、アボカドは美容や健康効果が期待できても摂り過ぎに注意が必要です。

脂質ってエネルギー源としてどんな働きをするの?

エネルギーは日常生活やスポーツでの身体活動に使われます。脂質は体に豊富に蓄積されている効率のよいエネルギー源です。過剰に摂取すると体脂肪として蓄積し、必要に応じて分解されエネルギーとなります。

脂質は1gあたり約9kcalエネルギーを産生できます。これは他の三大栄養素である糖質やタンパク質の約2倍のエネルギー効率となります。また、長時間の運動時に脂質を活用するとエネルギー切れとならずに持久力がアップします。なぜならば、体脂肪中の脂質エネルギー量は筋肉中の糖質エネルギー量の30倍以上あるからです。

脂質は筋肉細胞内のミトコンドリアの働きによりATP(アデノシン三リン酸)としてエネルギーに変換され利用されます。このミトコンドリアが増えると体の脂質の活用を増やすことができます。さらに、エネルギー源として利用されなかった余剰な脂質は体脂肪として蓄えられ、貯蔵エネルギーとして体の保温などに使われます。

脂質ってビタミンの吸収を助ける働きをしているって本当?

ビタミンには、水溶性ビタミンと脂溶性ビタミンの2種類があります。その内、脂質との関わりがあるビタミンは脂溶性ビタミンになります。

脂溶性ビタミンは、緑黄色野菜や魚類、キノコ類、卵などに豊富に含まれているビタミンで、脂質に溶けて肝臓や脂肪組織に蓄えられます。即ち、吸収経路が脂質と同じで、脂質があるとより吸収されやすくなるということです。

そのことから、脂溶性ビタミンを含んでいる食材は、油と一緒に摂れば吸収率が上がると言えます。逆に言えば、脂質が少ない食事をすると脂溶性ビタミンの吸収が悪くなり、脂溶性ビタミンの欠乏により、慢性的な下痢・クローン症・胆管閉塞などのような病気や膵臓の病気にかかり、脂肪やビタミンの吸収が阻害されます。

脂質はどのくらいの量を摂取したらいいの?

脂質は摂り過ぎると動脈硬化や肥満の原因になります。ただ、不足した場合は血管や細胞膜がもろくなり、脳出血などの疾患につながることもあるため、適量を摂ることが大事です。

脂質の摂取適正量は、30歳以上の方なら1日の摂取エネルギーの20~25%、30歳以上の方なら1日の摂取エネルギーの20~30%が目安となります。

具体的には、20~29歳の女性で約55g、男性で約70g、30~49歳の女性で約50g、男性で約65g、50~69歳の女性で約50g、男性で約60g、70歳以上の女性で約40g、男性で約55gとなります。

脂質の摂り方のポイントとして、肉類の場合は赤身やささみを中心に摂り、脂身を使う場合は煮たり蒸したりするという調理法で料理をするのがおすすめです。また、マグロのトロのように脂の多い魚を少なめにし、フライ、天ぷらなどの調理法を控えめにすることが大事です。

さらに、脂質は量も大事ですが質にも気を付けなければなりません。中性脂肪やLDLコレステロールの増加につながる動物性脂肪を少なく、またLDLコレステロールを減らす役割がある不飽和脂肪酸が多い植物性脂肪を多めに摂ることが大事です。

脂質について

脂質は三大栄養素の一つで、1gあたり約9kcalのエネルギーを生み出します。エネルギー産生以外にも、ホルモンや細胞膜の構成、内臓保護、体温維持など、多くの役割があります。肉類、魚類、乳製品など多くの食品に含まれています。
脂質はエネルギー源として利用されない場合は体脂肪として蓄えられ、体の保温などの役割を果たします。また、緑黄色野菜、キノコ類などに含まれる脂溶性ビタミンは、脂質と一緒に摂れば吸収率が上がります。脂質の摂取目安量は、例えば30~49歳の女性で約50g、男性で約65gとなっています。
脂質は摂り方も重要で、植物性脂肪を多めに摂るようにしましょう。脂質は摂り過ぎると動脈硬化や肥満の原因になるため、その摂り方には注意するようにしましょう。