コラム
皆さんは激辛料理をよく召し上がるでしょうか?好きな方は病みつきになるのが激辛料理です。その辛さの源はたくさんある香辛料です。激辛料理にはどのような香辛料が使われているのでしょうか?ご家庭でもよく使う香辛料について知識を増やしておきましょう。
人間の体は、辛い物を食べると脳内にアドレナリンとエンドルフィンが分泌されます。アドレナリンは、あらゆる体の機能を活性化させ、気分を高めてくれます。一方、エンドルフィンは脳をリラックスさせて、ストレスから解放してくれます。食べることでこのような感覚が得られるため激辛料理は人気があるのです。
また、激辛料理は夏場に求める人が多い傾向があります。食が細る暑い時期でも食欲が増すからで、これも激辛料理に人気がある理由の一つです。
このようにストレスを解消でき、食欲が増す激辛料理は人気があり、一度食べると病みつきになる方が多いのもうなずけます。
外出自粛などで制約が多いと、刺激が欲しくなります。このような状況が続けば、今後も激辛料理を食べる機会が増えることは間違いなさそうです。
香辛料は植物から採取されるもので、調理の際に香りや辛味などの風味や色を付けたり、臭みを消したりするものです。多くの香辛料は熱帯植物の種子や花、葉、樹皮が用いられています。
香辛料は、スパイスとハーブに分けられます。スパイスは香辛料のうち、葉・花・茎を除く部位を用いたものです。主なものは、ニンニク、ごま、生姜、唐辛子、胡椒、マスタード、柚子、山椒などがあります。
一方、ハーブはスパイスとは逆に葉・花・茎を用いたものです。主なものは、クレソン、バジル、紫蘇、ミョウガ、オレガノ、ローズマリーなどがあります。
香辛料は香りが加熱によって消えてしまうため、多くの場合、加熱殺菌されないまま流通しています。このため、食中毒の原因となる微生物が混入している可能性もあるので注意を要します。
香辛料の歴史として最古の記録が確認できるのは、紀元前3000年頃のインドで使用されていた黒胡椒やクローブ、古代エジプトのスリランカ産シナモンなどがあります。
ヨーロッパ大陸の西洋人の主食は、太古から狩猟民族であったことから肉食でした。ただ長い間、味付けは塩が使用されているだけでした。
そこへ東方の海を隔てた国からスパイスが持ち込まれたことは、食文化の革命的な出来事でもありました。焼いた肉の味付けにスパイスを使うことで格段と風味や旨味が増し、上品な料理へと進歩していきました。
スパイスの効能は、風味や旨味だけでなく防腐という保存面での画期的な効果もありました。
香辛料の歴史は、スパイスへの渇望とともに東方との交易だけではなく、大航海時代の始まりでもありました。中世各国の統治者たちがこぞって探検家を遠い海の向こうへ派遣し、交易地の開拓や植物の採取、そして軍隊を派遣し植民地化を進める発端にもなりました。
唐辛子は新種が次から次へと登場するため、ランキングはよく変化します。調査時点での激辛唐辛子のランキングは以下の通りです。
なお、唐辛子の辛さを決めるのはスコヴィル値と呼ばれる数値です。このスコヴィル値とは、例えば10スコヴィルの唐辛子があれば、水で10倍に薄めれば辛さは感じなくなるというものです。
さて、最新の激辛唐辛子のランキング1位は、ペッパーXと呼ばれる唐辛子です。そのスコヴィル値は318万という衝撃的なレベルで、食べた人は全員嘔吐したという辛さです。
2位はドラゴンズ・ブレス・チリと呼ばれる英国産の唐辛子です。248万スコヴィルで、舌を焼かれるほど危険な唐辛子です。
3位は2013年にギネス世界一に認定されたキャロライナ・リーパーと呼ばれるアメリカ開発の唐辛子です。スコヴィル値の上限値は220万スコヴィルです。
4位はコモド・ドラゴン・ペッパーで、スコヴィル値の上限値はキャロライナ・リーパー同様220万スコヴィルとなっています。
5位は200万スコヴィルのトリニダード・モルガ・スコーピオンで、サソリの毒針のように尖った尻尾が特徴です。
唐辛子は人間でも好みが分かれるぐらい辛い食品です。唐辛子が辛くなったのはカビや虫に食べられないようにするためです。辛味の強い唐辛子と辛味の弱い唐辛子の木を2つ並べておいた場合、辛味の強い唐辛子の方が虫に食べられる部分が少なかったという実験結果があります。唐辛子の成分であるカプサイシンがその役割を果たしているのです。
しかし、このように尋常ではない辛さでは、植物としての繁殖が難しいのではないかと疑問を感じます。
実は、哺乳類にはカプサイシンを受容できる構造がありますが、鳥類にはそれがありません。つまり、鳥類は辛いと感じることがないので、普通の食物のように食べてフンを落とすことで繁殖させることができるのです。加えて、この辛さがあることで哺乳類に食べられることもなく繁殖できます。
唐辛子の尋常ではない辛さは虫から守るため、そして鳥類に運んでもらい繁殖させるためのものだったのです。
激辛料理が人気になる理由のひとつは、脳内に分泌されるアドレナリンにより気分が高まり、エンドルフィンによりリラックスできるからです。その激辛料理の主役は香辛料です。これは植物の葉・花・茎が使われるハーブと、それ以外が使われるスパイスに分かれます。
香辛料は最近登場したものではなく、紀元前3000年頃に黒胡椒などが登場したという記録が残るほど歴史のあるものです。中でも辛いのが唐辛子で、危険なまでの新種が開発されています。この唐辛子が絶滅しないのは、辛味成分であるカプサイシンを感じない鳥によって種子が運ばれ、辛さを感じる哺乳類に食べられることなく繁殖できたからです。
哺乳類の中で唯一、ヒトだけがカプサイシンの辛さに病みつきになっているのです。